2025年11月21日、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が全国447館で公開されました。
『時をかける少女』から19年、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『竜とそばかすの姫』と数々のヒット作を生み出してきた細田監督の新作だけに、SNS上では「劇場がガラガラ」「大コケ」という投稿が相次ぎ、映画ファンの間で大きな話題となっています。
そこで本記事では、実際の興行成績や視聴者の口コミをもとに、なぜこの作品が不振に陥ってしまったのかを徹底的に考察していきたいと思います。
・作品のあらすじについて
・果てしなきスカーレットの興行成績データ
・視聴者の口コミから見る不評の理由
作品のあらすじ
『果てしなきスカーレット』は、16世紀デンマークを舞台に、父を殺され復讐に失敗した王女スカーレットが主人公の物語です。
彼女は「死者の国」で目を覚まし、そこで現代日本からやってきた看護師の聖(ひじり)と出会います。
この死者の国は、略奪と暴力が支配し、力のない者や傷ついた者は「虚無」となって存在が消えてしまうという過酷な世界という設定になっています。
スカーレットは父の仇である叔父クローディアスへの復讐を胸に秘めながら、聖との交流を通じて「生きること」「愛すること」の意味を問い直していくというストーリーです。
シェイクスピアの『ハムレット』とダンテの『神曲』をベースにした壮大なファンタジー作品として企画され、芦田愛菜がスカーレット役、岡田将生が聖役、役所広司が宿敵クローディアス役を演じています。
ここまでのあらすじや映像広告を見る限りは面白そうな印象を受けますが、なぜ賛否分かれるのか気になるところですね
衝撃の興行成績データ
前作比4分の1という厳しい現実
公開初週の興行成績は、細田監督作品としては異例の低調さを記録しています。
公開3日間で観客動員数約13万6000人、興行収入約2億1000万円。4日間累計でも動員約17万人、興収約2億7000万円にとどまりました。
この数字がいかに厳しいかは、前作『竜とそばかすの姫』と比較すると明らかです。
同作は公開3日間で動員60万人、興収8億9000万円を記録し、最終的には66億円の興行収入を達成しました。
上記から、今作は前作の約4分の1のスタートという計算になります。
ガラガラの劇場が現実に
数字だけでなく、実際の劇場の様子も衝撃的でした。
ある報道によれば、公開3連休最終日の夜、196席のシアターに観客がわずか8人という状況が発生。
客席稼働率は4%程度だったといいます。
さらに、連休明けの11月25日昼のIMAX上映では、432席のうち予約がわずか2席という状況も報告されています。
全国400館超、IMAX含む大規模公開にもかかわらず、劇場スタッフが上映前に客の人数を目視でカウントする光景も目撃されました。
視聴者の口コミから見る不評の理由
『果てしなきスカーレット』が不評な理由について主に以下のような感想が挙げられています
- 難解すぎるストーリー構成
- 唐突なミュージカルシーンへの戸惑い
- キャラクターへの感情移入の難しさ
理由①:難解すぎるストーリー構成
最も多く聞かれた不満が「話が難しすぎて理解できない」という意見でした。
ある視聴者は「情景がころころ変わって、つじつまが合わない所もいくつかあって、もやもやしていました」と感想を述べています。
作品は『ハムレット』と『神曲』をベースにした四重構造になっているとされ、解説記事を読んで初めて理解できたという声も多数見受けられます
また、「批判的な思考だけで鑑賞するとものっっっすごく理解し難い」「ほとんどの観客には致命的に届いていない」という辛辣な意見も見られました。
映画は2時間弱の尺で完結させる必要があり、複雑な世界観や設定を詰め込みすぎたことで、観客を置き去りにしてしまった可能性が高いのではないでしょうか
理由②:唐突なミュージカルシーンへの戸惑い
他にも、作品中盤に突如挿入されるダンスシーンにも批判が集中しています。
「絶対にいらない」「なに??となってしまう」という声が多く、特に細田監督自身が作詞を担当した歌詞が「『愛』『愛』うるさい」と評されています。
前作『竜とそばかすの姫』で音楽が高評価だったため、安易に歌を入れたのではないかという指摘もあるようです。
ファンタジー作品としての世界観を壊すミュージカル演出は、多くの観客の没入感を削ぐ結果となりました
視聴者からは「調子悪い時のモアナみたいなババアが躍り出したあたりで帰りたかった。」「つまらないを通し越して気まずいに到達した。」などと辛辣なコメントが寄せられています
理由③:キャラクターへの感情移入の難しさ
さらに主人公スカーレットへの感情移入が難しかったという声も目立ちます。
特に、芦田愛菜の声が「小役時代から聞き慣れているため、脳内で実写版が再生される」という意見がありました。
彼女の知名度が高いがゆえに、キャラクターよりも声優本人を意識してしまう視聴者が少なくなかったようですね。
また、16世紀のデンマーク王女という設定自体が、現代日本の観客には遠く感じられた可能性もあるのではないでしょうか。
細田監督の過去作には『時をかける少女』のような身近な主人公が多かっただけに、このギャップは大きかったかもしれませんね。
素晴らしいテーマの作品との見方も
一方で、多くはないものの「細田守の最高傑作」「面白かった」という高評価も存在します。
特に「解説記事を読んで理解してから2度目を観たら楽しめた」という声が印象的でした。
また、「日本のCGアニメの転換点だと思う」「色んな点が混在していて完璧ではないが、時かけ以来、一番好きな細田映画」という評価も多々見受けられます。
このことから難解すぎるストーリー構成が原因で大半の視聴者がつまらなかったと感じていることが推測できます。
憶測にはなりますが、予め解説記事を見てから果てしなきスカーレットを視聴することで作品の良さが分かるのかもしれませんね。
複雑な構造や哲学的なテーマを理解できた観客からは、むしろ野心的な挑戦として評価されている面もあるようです。
まとめ
今回は実際の興行成績や視聴者の口コミをもとに、なぜこの作品が不振に陥ってしまったのかを考察していきました。
『果てしなきスカーレット』の不振は、単純に「つまらない映画だった」というだけでは説明できません。
最終的な興行収入が『未来のミライ』の28.8億円を超えられるかどうかが注目されていますが、現状の推移から見ると厳しい状況と言わざるを得ない状況にあります。
細田守監督は日本アニメ界の巨匠として高く評価されてきましたが、今作の結果は今後の作品づくりに大きな影響を与える転換点となるかもしれませんね。
最終的に、『果てしなきスカーレット』は細田監督のキャリアにおいて重要な一作となることは間違いないのではないでしょうか。

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