2026年5月、実業家・溝口勇児氏が出資するオンライン処方サービス「ダイエットビューティー(diet beauty)」がSNSで大きな注目を集めました。
糖尿病治療薬「マンジャロ」をダイエット目的で提供するというビジネスモデルが話題となり、医師や医療専門家からも相次いでコメントが寄せられています。
「ダイエットビューティーってどんなサービス?」「マンジャロをダイエットに使うのは安全なの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、サービスの概要・炎上の経緯・医療専門家の見解・適応外使用のリスクについて、できる限り客観的な情報をもとに解説します。利用を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
・溝口勇児氏とはどんな人物か
・ダイエットビューティー(diet beauty)とはどんなサービスか
・マンジャロ(チルゼパチド)とはどんな薬か
・なぜ炎上・問題視されているのか
・医師・専門家はどう見ているか
・適応外使用の法的・健康上のリスク
・マンジャロをダイエット目的で使う前に知っておくべきこと
溝口勇児とは?REAL VALUEマフィアの実業家プロフィール
溝口勇児氏のプロフィールと経歴
溝口勇児(みぞぐちゆうじ)氏は、フィットネス・ヘルスケア領域を中心に複数の事業を手がける連続起業家です。20代前半からフィットネスクラブの支配人として経営の経験を積み、その後ヘルスケア関連会社「FiNC」を創業。現在はYouTube登録者数61万人のチャンネルを運営するインフルエンサーとしても知られています。
また2021年からは格闘技エンターテイメント「BreakingDown」の経営に携わり、2024年7月には堀江貴文氏・三崎優太氏とともに株式会社REAL VALUEを共同創業。同社が運営するYouTube番組「REAL VALUE」ではマフィア(審査員)として出演し、幅広いビジネスへの投資・出資活動を行っています。
LAST CALLとゆいぴすとの関係
溝口氏はキャバクラ嬢オーディション番組「LAST CALL」(登録者数約49万人)のファウンダー兼MCを務めています。同番組の審査員(クイーン)として人気キャバ嬢のゆいぴす氏(登録者数21万人)が出演しており、今回のダイエットビューティー騒動はこの番組内での発言がきっかけとなりました。
ダイエットビューティー(diet beauty)とはどんなサービスか
サービスの概要と料金体系
ダイエットビューティー(diet beauty)は、糖尿病治療薬「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」をオンライン診療を通じてダイエット目的で処方・提供するサービスです。「一人で頑張らない、一緒に続けるダイエット」をコンセプトに掲げており、自宅から完結するオンライン診療で処方を受ける仕組みとなっています。
料金は月額最大18,000円程度とされており、健康保険は適用されない完全自由診療です。医師の診察結果によっては処方されない場合もあります。
ゆいぴすがアンバサダーに就任した経緯
ゆいぴす氏は自身がマンジャロを使用した体験者としてダイエットビューティーの公式アンバサダーに就任。LAST CALL番組内でサービスが正式に紹介されたことで広く知られるようになりました。番組内ではゆいぴす氏が「マンジャロを打って1カ月で5kg痩せた」「マンジャロを打って痩せてから売れた」と体験談を語る場面がありました。
溝口氏は「最近出資させていただいた」とサービスへの出資を公表し、「マンジャロは食欲のコントロールからアプローチするので、無理な食事制限に頼らない効果が期待できる」と紹介しました。
マンジャロ(チルゼパチド)とはどんな薬か?基礎知識を解説
マンジャロの正式な用途と作用の仕組み
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、日本国内で2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に正式承認されている注射薬です。世界初の「GIP受容体」と「GLP-1受容体」の両方に作用する持続性注射剤で、血糖値の改善と食欲抑制・体重減少効果を持ちます。
血糖コントロールを目的に開発された薬ですが、その体重減少効果から美容・ダイエット目的での自由診療での処方を行うクリニックが増加しており、社会的な注目を集めています。
日本における承認状況と適応外使用の定義
重要な点として、マンジャロが日本国内で正式承認されているのは「2型糖尿病の治療」に限られています。ダイエット・肥満症を目的とした使用は「適応外使用」にあたります。
なお、日本国内には「ウゴービ」「ゼップバウンド」という肥満症の効能効果で厚生労働省に認可された薬剤が存在しますが、処方要件が厳格なため「痩せたいだけの健康な人」には適用されないケースが多く、これがマンジャロの適応外使用が広がる一因とも言われています。
なぜ炎上したのか?騒動の経緯と問題点を整理
LAST CALL動画での発言が物議を醸す
2026年5月17日に公開されたLAST CALL動画内で溝口氏がダイエットビューティーへの出資を公表。その際、ゆいぴす氏が挑戦者に「マンジャロ打ちな?」と番組中で勧める場面もあったことから、SNS上で批判が急拡大しました。
特に問題視された点は以下の通りです。
・糖尿病治療薬を健康な人にダイエット目的で公開の場で勧めていること
・出資者本人が番組内で自社サービスを宣伝していること(利益相反の疑い)
・医療広告ガイドラインや薬機法(医薬品医療機器等法)違反の可能性が指摘されたこと
医師・専門家からの批判コメント
医師で小説家の知念実希人氏はX(旧Twitter)で「マンジャロはあくまで糖尿病の治療薬であり、ダイエット用に使ったら適応外使用で、副作用が出ても救済対象外になる。素人が安易に勧めないでほしい」と苦言を呈しました。
また複数の糖尿病専門医も「インフルエンサーを大々的に巻き込んだ派手なビジネス展開は、いずれ行政による摘発の対象になりかねない」との見方を示しています。
東京都薬務課の動きとデマ拡散問題
5月28日、東京都薬務課の公式Xが「医薬品であるマンジャロを許可等なく販売等することは医薬品医療機器等法に違反します。直ちに販売を中止してください」という内容の投稿を行いました。
ただし、この投稿はゆいぴす氏や溝口氏を名指しした特別声明ではなく、不正販売が疑われるアカウントへの定期パトロールの一環とみられています。「東京都が直接警告した」という情報がX上で1,200万回以上表示されましたが、これはデマと考えられると報道機関が伝えています。情報を受け取る際は一次情報の確認が重要です。
マンジャロの適応外使用がもたらすリスク:医療的観点から
報告されている副作用一覧
マンジャロの使用にあたっては、以下の副作用が報告されています。
・消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・便秘・食欲不振)※最も多い
・膵炎のリスク
・腎機能の悪化
・胆嚢障害
・低血糖(特に他の薬との併用時)
・視力の変化
・甲状腺腫瘍のリスク(稀)
甲状腺髄様癌の既往がある方や膵炎の既往がある方には投与が推奨されていません。
適応外使用では副作用被害救済制度が使えない
最も重要なリスクのひとつが、「医薬品副作用被害救済制度」の対象外になるという点です。
この制度は、医薬品を正しい用法・用量で使用した場合に生じた副作用に対して国が補償を行う仕組みですが、ダイエット目的でのマンジャロ使用はこの制度を一切利用できません。万が一重篤な副作用が発生した場合も、すべて自己責任となります。
厚生労働省・日本糖尿病学会の注意喚起
厚生労働省は、GLP-1受容体作動薬等の適応外使用について以下の点を問題視しています。
・2型糖尿病以外の目的での使用は適応外であること
・安全性・有効性の科学的根拠がまだ不十分であること
・オンライン診療やSNS・広告で「誰でも使える痩せ薬」のように紹介されている事例があること
また日本糖尿病学会も、ダイエット目的の安易な処方拡大は本来必要な2型糖尿病患者へのマンジャロ供給を圧迫しているとして、強い懸念を表明しています。
マンジャロをダイエット目的で使う前に知っておくべきこと
「適応外使用」と「違法」は異なる
誤解されやすい点として、マンジャロの適応外使用(ダイエット目的での使用)はそれ自体が即違法というわけではありません。医師の診察を経て処方が行われる場合は、医師の医学的判断のもとでの自由診療として認められています。
ただし、「許可なく販売・授受すること」や「誇大・虚偽の医療広告」は薬機法に違反する可能性があります。また出資者や関係者が番組内で宣伝行為を行うことについても、医療広告ガイドラインへの抵触が指摘されています。
ダイエットを検討する際の正しいアプローチ
マンジャロに限らず、医薬品をダイエット目的で使用する場合には以下の点を必ず確認することが重要です。
・必ず医師の診察・処方を受けること(自己判断・個人輸入は非常に危険)
・適応外使用であることを十分に理解したうえで同意すること
・副作用被害救済制度の対象外であることを把握しておくこと
・SNSの体験談だけを信用せず、医療機関での専門的な説明を求めること
・利用するクリニックの信頼性・実在を事前に確認すること
まとめ:溝口勇児のダイエットビューティー騒動から学べること
今回の騒動は、インフルエンサーが医薬品に関連するビジネスを展開する際の倫理的・法的な課題を改めて浮き彫りにしました。
ダイエットビューティーが提供するマンジャロは、2型糖尿病の正式な治療薬として有効性が認められている薬です。一方でダイエット目的での適応外使用には、副作用リスクや救済制度の対象外となる問題が伴います。
インフルエンサーや有名人の体験談は、あくまでも個人の感想であり、医学的なエビデンスとは異なります。「有名人が使っているから安全」という判断は非常に危険です。
ダイエット目的での薬の使用を検討される場合は、必ず医療機関を受診し、医師から十分な説明を受けたうえで判断するようにしましょう。

コメント