「1日30分睡眠を17年間続けている」と公言し、たびたび大きな話題になるショートスリーパーの堀大輔さん。その主張に対して、美容外科医である高須クリニックの高須幹弥医師が、自身のYouTubeチャンネルで正面から疑問を投げかけたことをご存じでしょうか。
ネット上では「堀大輔さんは本当に寝ていないのか」「やばいのでは」「嘘なのでは」といった声が絶えません。しかし、そうした憶測の多くは感情的なものにとどまっており、医学的な視点から具体的に何が問題なのかを整理した情報は意外と多くありません。
そこでこの記事では、高須幹弥医師が実際に語った内容をもとに、医師としての見解と、具体的に挙げられた8つの疑問点を丁寧に整理していきます。あわせて、短時間睡眠が体に及ぼすとされる医学的リスク、そして堀大輔さん本人がどう反応したのかまで解説します。
- 高須幹弥医師が堀大輔さんに言及した経緯(結論から先に解説)
- 「後天的にショートスリーパーにはなれない」という医師の基本的な見解
- 高須幹弥医師が挙げた8つの具体的な疑問点とその中身
- ネットで噂される「目がバキバキ」説に対する医師の意外な回答
- 短時間睡眠が体に及ぼすとされる医学的リスク(認知症・うつ・免疫)
- 堀大輔さん本人の反応と、その後実現した直接対談の顛末
高須幹弥医師とは?なぜ堀大輔さんに言及したのか
まずは前提となる登場人物と、話の発端を整理しておきます。
高須幹弥医師のプロフィール
高須幹弥(たかす みきや)医師は、高須クリニックに所属する美容外科医です。YouTubeチャンネルでの発信でも広く知られており、美容医療にとどまらず健康・トレーニング・時事ネタまで幅広いテーマについて、視聴者から寄せられた質問に答えるスタイルの動画を長年投稿し続けています。
本人も筋力トレーニングを長く継続しており、ベンチプレスの記録を動画で公開するなど、「医師でありながらトレーニーでもある」という立場から睡眠を語れる点が、今回の議論を興味深いものにしています。
発端は高須医師のYouTube動画だった
きっかけは、高須医師が自身のチャンネルで「ショートスリーパー堀大輔氏について私の意見を話します」というテーマの動画を公開したことでした。視聴者からの質問に答える形で、堀大輔さんの主張について自身の考えを述べたものです。
これに対し堀大輔さん本人がX(旧Twitter)で反応し、「寝耳に水といいますか」「色々と勘違いや思い違いもあるみたいなので、よければ直接話できればいいですねー」と投稿。ここから両者のやり取りが始まっていきます。
その後、高須医師は「ショートスリーパー堀大輔氏に対して私が感じる疑問」という回で、自身と視聴者から寄せられた疑問を体系的に整理して発信しました。この記事で中心的に扱うのは、この回の内容です。
高須幹弥医師の基本的な見解「後天的にショートスリーパーにはなれない」
数ある発言の中で、高須医師の立場が最も明確に表れているのが次の考え方です。
「ショートスリーパーは後天的に得られるものではないと僕は思っている。世の中の多くの人も、睡眠の専門家であってもそう考えている」――高須医師はこのように述べ、訓練によって短眠体質を獲得できるという考え方そのものに疑問を呈しています。
これは医学的にも裏付けのある見方です。一般的に、医学の世界で言う「ショートスリーパー(短時間睡眠者)」とは、遺伝子レベルで決まっている極めて稀な体質を指します。特定の遺伝子変異を持つごく一部の人だけが、短い睡眠でも健康を損なわずに活動できるとされており、その割合は人口のごくわずかです。
ここで重要なのが、堀大輔さん自身が「もともとは普通に睡眠をとっていて、そこから徐々に削っていった」と説明している点です。つまり先天的なショートスリーパーではないということになり、高須医師はここに大きな引っかかりを感じていると語っています。
高須医師自身は「7〜8時間睡眠」を最優先で確保している
興味深いのは、高須医師が自身の実体験を根拠に語っている点です。約50年の人生でさまざまな睡眠時間を試した結果、1日7〜8時間眠るのが最も体調が良いという結論に至ったと話しています。
特に印象的なのが研修医時代のエピソードです。ICUやCCUで当直をこなしていた1〜2年目は1日2時間睡眠の生活を強いられ、「頭も回らないし集中力も落ちる」「風邪をひきやすかった」と振り返っています。免疫力が落ちていたのだろう、という自己分析です。
美容外科医になってからも1日4〜5時間睡眠で働いた時期があったものの、やはり頭が回らず、体力もスタミナも落ち、アイデアも浮かばなくなったといいます。そうした試行錯誤の末に、「まず睡眠時間を確保し、残った時間で仕事や筋トレを割り振る」というスケジュールの組み方にたどり着いたと語っています。
なお高須医師は「自分はショートスリーパーを目指す気はないし、他人にも勧める気はない」と明言する一方で、「もし堀さんが本当に30分睡眠で体調も良くパフォーマンスも出せるなら、うらやましい」とも述べています。頭ごなしの否定ではなく、あくまで疑問として提示している姿勢が、この議論を建設的なものにしています。
高須幹弥医師が挙げた8つの疑問点【医師の見解まとめ】
ここからが本題です。高須医師が実際に挙げた疑問を、ひとつずつ整理していきます。
疑問1:30分の睡眠で本当に疲労は回復するのか
人間の睡眠は、深いノンレム睡眠と浅いレム睡眠をおよそ90分周期で繰り返す構造になっています。高須医師は「30分の睡眠だと理論上はノンレム睡眠だけということになるが、それで本当に疲労が回復するのか」と疑問を投げかけます。
自身は「3時間、4時間の睡眠であっても疲労は回復しなかったし、集中力も落ちた」という体験から、「僕は絶対無理だと思う」と率直に語っています。そのうえで、堀さんには独自のコツがあるのかもしれないが、受講生からお金を取って教えているビジネスである以上、無料の場ではすべてを話せないのではないか、という推測も添えています。
疑問2:「目がバキバキ」説は睡眠不足の証拠になるのか
ネット上でよく言われるのが「堀大輔さんは目がバキバキだから、実は我慢しているだけの睡眠不足なのではないか」という説です。この点について、高須医師は意外にも慎重な立場をとっています。
医学的には、睡眠不足でアドレナリンが分泌され交感神経が優位になると、まぶたを引き上げるミュラー筋が緊張して目が大きく開くという現象は確かに起こり得ます。しかし高須医師は「別にそうでなくても目の開きが良い人はいる」として、目がバキバキであること自体は睡眠不足の証拠とは一概に言えないと結論づけています。
同様に「イライラしていて攻撃的に見える」という指摘についても、「もともとのキャラクターは人それぞれ違うので、それをもって睡眠不足だというのは違うと思う」と、むしろ噂を打ち消す方向で語っています。批判ありきではない姿勢がよく表れた部分と言えるでしょう。
疑問3:1日4回の入浴は何のためなのか
堀大輔さんが1日に4回入浴するという点にも、高須医師は着目しています。「眠気覚ましのため、刺激のために入っているのではないか」と推測したうえで、「1回30分だとしたら4回で2時間。その時間を睡眠に回したほうが有効なのではないか」と指摘します。
着替えや体を拭く時間も含めれば、実際にはさらに時間がかかります。「短眠で時間を捻出する」という目的と、入浴に多くの時間を割いている実態が噛み合っていないのではないか、という素朴かつ鋭い疑問です。ただし高須医師は「1回5分の入浴ならまったく話が違う」とも付け加えており、断定は避けています。
疑問4:受講生に体調不良やうつ病は出ていないのか
ここは、この議論の中で最も重要度が高い論点だと言えます。高須医師は、普段はしっかり眠っていた人が短眠を目指した結果、体調を崩したりメンタル疾患、特にうつ病になったりするケースはないのかと問いかけています。
「睡眠時間内に脳の疲労が回復せず、ストレスが溜まって精神を病んでしまう人はいないのか」――これは受講を検討する人にとって、最も知りたい情報のひとつではないでしょうか。あわせて「途中で挫折する人はどれくらいの割合でいるのか」という成功率・脱落率のデータについても知りたいと述べています。
疑問5:成長期の子供や妊婦にも勧めるのか
この点に関して、高須医師は疑問というより明確な警告として語っています。
「医学的には、成長期の子供に短眠を勧めるのは絶対にダメ」と断言。理由として、成長期は身長が伸び、体を成長・回復させる必要がある期間であり、無理に睡眠を削れば成長ホルモンの分泌が不十分になり、骨の成長に影響する可能性があると説明しています。成長期を逃せば取り返しがつかない、という指摘です。
妊娠中の女性についても、「赤ちゃんを宿している間に無理な短眠をして体調を崩したり免疫力が落ちたりすることは絶対にあってはならない」と述べ、授乳中の女性も同様に避けるべきだという見解を示しています。
疑問6:ベンチプレスの記録が大きく下がっているのはなぜか
筋トレを長年続けている高須医師ならではの視点がこちらです。堀大輔さんは過去に「ベンチプレスのマックスが130kg」と語っていたものの、別の動画では100kgが挙がっていないように見えた、と指摘しています。
そのうえで、トレーニング界の常識として「栄養・トレーニング・睡眠の3つが揃ってこそ最大限の結果が出る」という原則を挙げ、ボディビルダーもパワーリフターもアスリートも、睡眠をしっかりとるほうがパフォーマンスが上がるのは明らかだと述べています。
コンテストに出場するほど真剣に筋トレに取り組んでいるのであれば、その努力を最大限アウトプットするためにも睡眠をとったほうがいいのではないか――これは批判というより、同じトレーニーとしてのアドバイスに近いトーンで語られています。
疑問7:「睡眠中に体温が下がるのは悪いこと」という主張への反論
堀大輔さんが語っているとされる「寝ている時は体温が下がる。人間は体温が高いほうが免疫力も上がる」という主張に対し、高須医師は明確に「それは違うのではないか」と反論しています。
その理由として、睡眠中の体温低下は「活動を停止してエネルギー消費を下げ、体を回復させる」ための正常な生理現象であると説明。筋肉の収縮も心肺機能の活動も低下している以上、血流が落ちて体温が下がるのはむしろ当たり前だという指摘です。
さらに高須医師は、人類が長い歴史の中で地球の日照サイクルに適応して体を作ってきたという視点も示しています。朝にメラトニンの分泌が低下して目が覚め、十数時間後に再び分泌されて眠気が出る――このリズムに逆らって無理に睡眠を短縮すれば体調を崩すのではないか、「無理して自然に逆らわないほうがいい」というのが結論です。
疑問8:「睡眠業界からの圧力」説は本当か
堀大輔さんは「自分とコラボや対談をしてくれる人があまりいない、避けられてしまう」と語っており、その背景として寝具・睡眠サプリ・睡眠薬といった睡眠ビジネス業界からの圧力があるのではないか、という趣旨の発言をしていたとされます。
これに対し高須医師は「そんなことはないと思う」と否定。むしろ理由は別のところにあるのではないかと分析しています。
すなわち、世の中の大多数が「睡眠はしっかりとるべき」という共通認識を持っている中で、一定数の人はどんな説であっても信じてしまう傾向がある。だからこそ「この理論を広めてはいけない」という正義感から、あえて堀さんと関わらないようにしている人がいるのではないか――という見立てです。そして高須医師自身、その考え方も正しいのではないかと述べています。
高須医師が指摘した短時間睡眠の医学的リスク
個別の疑問に加えて、高須医師は睡眠不足が体に及ぼす影響についても具体的に言及しています。ここは堀大輔さんの是非とは関係なく、すべての人に関わる重要な内容ですので、しっかり押さえておきましょう。
脳への影響:認知機能の低下と認知症リスク
高須医師は、睡眠中に脳の疲労物質が洗い流されて回復していくという説に触れつつ、睡眠不足が続くとタウタンパク質などが脳に蓄積し、神経細胞やシナプスが破壊されて脳が萎縮し、認知症につながるという一般的な知見を紹介しています。
「短眠を続けていれば認知機能が低下し、脳が早く老化してしまう。長く健康でいたいなら睡眠は絶対に大事」というのが、医師としての結論です。なお、これらの研究の多くは動物実験に基づくものであり、人間の脳で直接実験することは倫理上不可能である点にも、高須医師自身が言及しています。
体への影響:肥満・免疫・心血管
睡眠不足になると、食欲を増進させるホルモンであるグレリンが増え、食欲を抑えるレプチンが減少します。その結果、食欲が旺盛になって太りやすくなると高須医師は説明しています。ダイエット中の人にとっては見過ごせないポイントです。
さらに、免疫力の低下による感染症のかかりやすさ、血圧上昇による心臓血管疾患のリスク増大についても言及。加えて美容外科医の視点から、深い睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで新陳代謝が高まり、肌の状態が改善するという点にも触れています。
メンタルへの影響
睡眠不足によってイライラしやすくなったり、意欲が落ちてうつ状態になったりする――これも高須医師が自身の体験として語っている部分です。筋トレのパフォーマンスが落ち、扱える重量が伸びなくなったという実感も併せて述べられています。
なお、いわゆる「兵士は1日2〜3時間しか眠らない」という話についても、戦場は生きるか死ぬかの極めて特殊な環境でアドレナリンが出ている状態であり、それを一般化はできないと指摘。ある程度の期間が経てばメンタルを病んだり体調を崩したりするため、一旦戻って休息をとることになるはずだと説明しています。
堀大輔さん本人の反応と、その後の直接対談
この議論が単なる一方的な批判に終わらなかった点が、非常に興味深いところです。
高須医師の最初の動画に対し、堀大輔さんはXで「まずは興味を持っていただきありがとうございます」と述べたうえで、「色々と勘違いや思い違いもあるみたいなので、よければ直接話できればいいですねー」と投稿しました。
この呼びかけは実現し、高須医師のチャンネルではその後、「堀大輔に疑問を全てぶつけてみた」「堀大輔と共演した感想を正直に話します」といった内容の回が続けて公開されています。批判する側と批判される側が実際に顔を合わせて議論したという点で、ネット上の論争としては珍しい展開になりました。
さらにその後、高須医師は「堀大輔の宣伝に私の写真が使われている件について」というテーマでも発信しており、また精神科医の益田医師にショートスリーパーについての見解を尋ねる回も公開しています。議論が一人の医師の意見にとどまらず、複数の専門家を巻き込んで広がっていったことがわかります。
なお高須医師は疑問を語る際、繰り返し「もし僕の誤解があったら本当にごめんなさい、と謝罪する覚悟で話している」と前置きしています。断定を避け、あくまで疑問として提示する姿勢は、情報の受け取り手として見習うべき点かもしれません。
医師の見解から見えてくる「ショートスリーパー」の現実的な結論
ここまでの内容を踏まえて、私たちが日常生活に持ち帰るべきポイントを整理します。
第一に、医学的な合意としては「訓練で後天的にショートスリーパーになることはできない」という点です。高須医師も、そして多くの睡眠研究者もこの立場をとっています。堀大輔さんが特殊な体質である可能性は否定できませんが、それが一般化できるかどうかは全く別の話です。
第二に、最適な睡眠時間には個人差があるものの、それは「30分でいい人がいる」という意味ではないということです。高須医師自身、7〜8時間が最適だという結論に至るまでにさまざまな睡眠時間を試しています。自分に合った睡眠時間を探ること自体は有益ですが、その探索は極端な短眠を目標にすべきものではありません。
第三に、成長期の子供、妊娠中・授乳中の方は、短眠を試みるべきではないということ。これは高須医師が最も強い言葉で警告している部分であり、疑問の余地なく守るべき線引きです。
「時間が足りない」という悩みを抱える人にとって、睡眠時間を削るという発想は非常に魅力的に映ります。しかし高須医師が繰り返し語っているように、睡眠を削って生まれた時間は、集中力・判断力・体力の低下によって結局は相殺されてしまう可能性が高いのです。まず睡眠時間を確保し、残りの時間の使い方を工夫する――遠回りに見えて、これが最も確実な方法なのかもしれません。
まとめ|高須幹弥医師の見解を要点整理
最後に、この記事の内容を要点として整理します。
- 発端:高須幹弥医師がYouTubeで堀大輔さんのショートスリーパー論に言及し、堀さん本人がXで「直接話せれば」と応じたことから議論がスタートしました。
- 基本的な見解:高須医師は「ショートスリーパーは後天的に得られるものではない」という立場で、これは多くの睡眠専門家の見解とも一致しています。
- 疑問1〜3:30分睡眠での疲労回復の可否、「目がバキバキ」説の妥当性(医師は根拠にならないと判断)、1日4回の入浴時間の使い方。
- 疑問4〜5:受講生の体調不良・うつ病・挫折率のデータ、そして成長期の子供や妊婦・授乳中の女性への影響。特に子供への短眠指導は「絶対にダメ」と明言されています。
- 疑問6〜8:ベンチプレス記録の低下、「睡眠中の体温低下は悪」という主張への反論、睡眠業界の圧力説への否定的見解。
- 医学的リスク:認知機能の低下と認知症リスク、グレリン・レプチンの変動による肥満、免疫力低下、血圧上昇と心血管疾患リスク、うつ症状などが挙げられています。
- その後の展開:両者は実際に直接対談を実現し、さらに精神科医の見解を尋ねる回も公開されるなど、議論は複数の専門家を巻き込んで広がりました。
高須医師のスタンスは、頭ごなしの否定ではなく「本当にできているならうらやましい。ただ医学的に説明がつかない点が多いので教えてほしい」という誠実な疑問提示でした。だからこそ本人との対話にまで発展したのだと言えます。
私たち読者としては、極端な情報に飛びつく前に、こうした専門家の見解を踏まえて冷静に判断したいところです。少なくとも現時点の医学的知見に照らせば、睡眠時間を無理に削ることは健康上のリスクを伴うと考えておくのが安全でしょう。
※本記事は公開されている発言・情報をもとに構成した一般向けの解説であり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。睡眠に関する不調や不安がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。

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